高血圧通信 4 / 降圧薬が効かない高血圧;原発性アルドステロン症について
最近、「原発性アルドステロン症」に関する質問をよく受けます。テレビ番組を機に皆さんの注目を浴びたようです。以下に、この病気に関する簡単な説明をします。
1. 降圧薬が無効の高血圧と原発性アルドステロン症
高血圧の中で最も頻度の高い動脈硬化による高血圧(本態性高血圧)では、適切な生活指導や投薬で多くは改善します。しかし、一部の高血圧では、複数の薬を使用してもなかなか血圧が良くならない、場合によっては通常の薬には無反応の場合もあります。
それらの中に「原発性アルドステロン症」という病気があります。従来まれと考えられてきた疾患ですが、実はこの病気が予想以上に多い事が近年わかってきて、俄然注目を浴びています。高血圧症全体の約5-10%を占め、生活指導や降圧薬に抵抗性の高血圧の25%が本疾患とされますから、確かにかなりの高頻度です。この文章を読んでいる方にも、高血圧で長年薬を飲んでいるにも拘らずコントロール不良の方がいると思いますが、その4分の1はこの病気に該当する可能性があるという事になります。原発性アルドステロン症はやや専門的な診断と治療が必要になります。以下にその概略を説明します。
2.
原発性アルドステロン症とはどのような病気か
原発性アルドステロン症は、副腎(左右の腎臓の上にある小さな組織です)の、アルドステロンというホルモンを産生する細胞の腫瘍(腺腫または過形成)です。アルドステロンの本来の役割は体内の塩分を保持することですが、塩分維持と引き換えにカリウムを腎臓から排出する働きもあります。この病気ではアルドステロンが過剰に産生される結果、1)塩分貯留による薬剤不応性の高血圧と、2)低カリウム血症が生じます。また過剰なアルドステロンは、脳梗塞や心筋梗塞のリスクファクターになる事も知られています。
3. どのようなときに原発性アルドステロン症を疑うか
あなたの高血圧に次のような点が見られたら、原発性アルドステロン症の可能性を医師に相談すべきです。
●薬が効かない(薬剤抵抗性高血圧)
●動脈硬化の素因(高コレステロール、高中性脂肪、高血糖など)がない
●若年からの高血圧
●口渇、多飲多尿、筋力の低下やツリ、四肢麻痺などの、低カリウム血症による症状がある
4.どうやって診断するか
上記の症状があれば原発性アルドステロン症の検査が必要になります。検査は大きく分けて1)血液検査と2)画像検査に分けられますが、まず血液検査をおこない、疑い濃厚なら画像診断というのが基本の流れです。
血液検査では、1)血液中のレニン、アルドステロンの量と比率、2)血液中のカリウムの量などを調べます。採血にあたっては 検査前に安静時間が必要などいくつか条件があります。またすでに降圧薬を服用している場合には事前の薬を中止するなどの処置が必要な場合もあります。検査にあたっては高血圧の診療に長けた医師に相談してください。
血液検査で疑いが濃い場合は画像検査で確認を行う事になります。画像検査としては超音波検査やCT、MRI検査などが有用です。
5. 治療
アルドステロンは高血圧だけでなく、脳梗塞、心筋梗塞、腎不全などの危険因子なので、その意味でも可能な限り早く過剰なアルドステロンの作用を断ち切る必要があります。薬による内科的治療と外科的治療に大きく分けられますが、ここでは内服薬による治療の概ねを中心に説明します。
アルドステロンの働きをブロックする薬剤には現在主に二種の薬が使われています。その一つ、スピロノラクトンは古くから知られた坑アルドステロン薬ですが、女性化乳房などの欠点がありました。この点を改善した薬としてエプレレノンも最近では使用できるようになっています。これらの薬により、長年薬剤による血圧コントロールが不良だった患者さんの血圧を正常化させる事が可能です。しかしこれらの薬剤には問題点もあります。血液中のカリウムが上昇してしまう点です。高カリウム血症はさまざまな問題を引き起こしますが重篤な場合は心停止をきたします。したがってこれらの薬を使う場合には、血液中のカリウムの定期的検査が必要になります。また元々カリウムが高かったりカリウム上昇の恐れのある場合(中程度以上の腎機能障害や蛋白尿を有する糖尿病患者などです)ではこれらの薬による治療は不適です。手術による治療を考慮しなければなりません。
原発性アルドステロン症のご相談は、近藤内科クリニックまで
TEL:03-3411-1310
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